Joy & Jura with Whippet Floren

ウィペットと共に静かに暮らしています。犬のことも犬以外のこともぼちぼち書きます。

⑳“木の下のベンチ”

12月10日

もう、とにかくジュラはしんどそうである。
六日間何も食べられていないし、カート散歩どころか寝たきりです。

幸いなことにジュラの

“水が飲みたい!”

という目の合図が分かるようになってきて、それを察知すると

水ボウルを口の近くまで持って行って→ジュラの身体を支えて→ジュラが自ら水を飲む という連携プレイが出来るようになった。

ただし、水を飲むとそのあと一時間くらい呼吸がキツそうです。
ヴィーダーインゼリーをスポイドで与えたりもしました。(特に薬を飲ませる時)
ということで、寝たきりながらもジュラの主な活動は以下の四つで

・朝晩のトイレに移動させてのおしっこ

・水飲み

・ゼリー飲み

・お薬タイム

この行動をしたあとはしばらく苦しいので、それぞれに時間を空けてこれらの予定を組み込むようにしていました。

そんな状況ながらも、ちょっと顔色が良い瞬間があって

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 私はジュラを二階の寝室まで抱っこして連れて行くことにしました。
というのも、犬ってすごく規則正しいのか?昼間はリビング、夜は寝室、で過ごすルーティンをジョイ・ジュラはものずごく気に入っているのです。
だから、二階に行きたいんじゃないだろうか?と思ったのです。(少し前までは脾臓を刺激する気がして怖くて抱っこが出来なかったけど、痩せたことで簡単に持ち上げられるようになった)
すっかり、細く、軽くなかった身体を抱いて階段を上がりました。寝室に入るとジュラは嬉しそうだ。ジュラをそっとベッドに寝転ばせて、少しだけ一緒に横になる。部屋はとても寒い。ベランダを開けて、ジュラを抱いて外へ出て二階から通りを眺めさせてみた。すると、興味ありげに下を見つめ、鼻をヒクヒクさせるジュラ・・・。
これは外に連れて行こう。ジュラを抱いたまま、階段を下りて玄関を出た。いつものライオンズマンションの傍の小さな公園のベンチまで行き、ジュラを抱っこしたまま、しばらく座った。

この時に私はある光景を思い出した。六年程前のこと、ジョイ・ジュラとの夕方の散歩の時、立派な家の車庫を開け、その前でおばあさんが寝たきりの柴犬を抱いていたのだ。
その柴犬は相当高齢な様子で目も開かず、身体も麻痺して動かないようだった。
私たちの散歩の時間と、そのおばあさんが柴犬を外で抱いてやる時間が重なっていて
何度も見掛けたのだ。おばあさんの表情がとても素敵だった。
ワンコはもうヨタヨタなのだけど悲観することなく、おばあさんは優しい微笑みを浮かべながら、あやすようにゆらゆらとワンコを抱いて、優しく声を掛けていた。それぞれに、幸せそうな時間を過ごしているように見えた。この姿を見て、理想的な介護(看取り)だなぁ、私たちにもいつかそういう時が来るのだろうな(少し怖いけど)、その時はこんな風に出来たら良いのに、、と思ったものです。深く印象に残っているおばあさんと柴犬の姿。

それから数年経ち、今ではそのおばあさんの姿も見ないけれど、自分もこうして外でジュラを抱いている。あのおばあさんみたいに、上手に介護が出来ているとは思えないが、少しだけあの時のおばあさんの気持ちが分かったような気がした。

そして、ジュラと気持ちが通じ合えたように感じた。お互いに、不安で怖くて、それでもこうして一緒に外へ出てくっついていると、安心で嬉しい気持ちもあって…。そんな感じのなんとも言えない気持ち。

木の下にあるベンチでジュラを抱いたひと時は忘れられない瞬間になりました。